本番作品①
さあいよいよ本番だ。
試作を経て気づいたこと、色々あるが、本番の陶土は収縮率が違うので、それに合わせて全体的なサイズを変更する。
よってバランスも調整しながらベースのボディのシルエットも調整する。
彫刻する部分を盛り付けて、足の内部をくり抜いて蓋をすれば後はじっくり彫刻する。
本番作品でも試作のように気になる部分は常に調整する。
完成形をイメージして意識して近づけることが大切だ。
例えばボディのシルエットは
「もっと細く」
とか呪文のようにつぶやきながら削りだ出してゆくのだ。
それでもイメージと違ってしまう時もある。
私の場合、その時は何処かのタイミングで諦めて改めて作り直す。
一番最悪な失敗は最終的な繊細な彫刻を施している時に、作品はかなり乾燥しているので、仕上げの段階で少しの水分を与えて磨いたりするのだが、それが原因で穴が空いたり、ヒビが入ったりすると無気力になる。
つまり試作は頭の中のイメージを吐き出して具現化すること。
本番は更に調整しながら同じ工程を行うことで失敗を減らす。
私の場合、本番でも同じものを幾つか納得できるまで作る。
そして焼成後に一番良い作品を納品するのだ。
勿論、納得出来なければ何度でも同じ作品を作り続けることになる。
「理想」と「現実」
用はこの矛盾する部分に私なりの妥協点が生まれるかどうかだ。
私が日々成長しているのなら自分が理想とする作品には辿り着けないはずだ。
その妥協点を見つけるまで何度でも繰り返すのだ。